ようこそ 「Cafe Book addict」Japanese side

カフェでまったりするように、ゆる〜く本をご紹介する「Cafe Book addict」。こちらは日本の著作です。

『ぼくはスクワター」篠原一著 新書館刊
えっと、これはエッセイ集ですね。
高校生で文學界新人賞を取ってデビューした「早熟の天才」シノハラハジメ初のエッセイ。
この本、表紙が真っ黒なんですよ。エッセイ集で真っ黒な表紙!インパクトあり。
で、読み始めたら最初に出てくる「えしりとり」で引き込まれ、300ページ近くあるのに一気に読んじゃいました。
ハジメちゃんもさることながら、家族が面白い!だって、父は「旦那」母は「美枝子ちゃん」。 で、美枝子ちゃんはハジメちゃんが沖縄に行くときに「パスポート持った?」なんて聞いちゃうし、旦那は、ハジメちゃんがパソコンを買う、というときに百科事典のCD-ROMを持ち出して誘惑。まんまと機種変更してしまったハジメちゃんにぼそっと「尻軽」と呟く。
書店で買ったとき、帯に「ハジメちゃん、カワイイじゃん!」とあったんですが、ソラとしては「シノハラ一家、カワイイじゃん!」ですね。
『トリニティ・ブラッド1』原作 吉田直 作画 九条キヨ ASUKA COMICS
いきなり漫画。いやいや、ソラは漫画も小説も平等に扱いますよ〜。
これは、次に紹介する「トリニティ・ブラッド R.O.M 嘆きの星」を漫画化したもの。ソラはこっちから読み始めました。舞台は大災厄(アルマゲドン)で文明が滅んだ遠未来。ヨーロッパとアフリカ大陸だけを残して他の地域は絶滅地帯(ダークランド)になっています。
そこを舞台に、人類と吸血鬼(ヴァンパイア)が闘争を繰り広げる・・と。
主人公が、普段はへなちょこでいつもお腹をすかせた情けない神父アベル・ナイトロード。これが実は「吸血鬼の血を吸う吸血鬼”クルースニク”」なんですね。
260ページを超える原作を1冊にまとめているので、かなり急ぎ足な感じ。エピソードの入れ替えなんかもあるので、原作とは別ものかな。
絵は、原作の挿絵よりも親しみやすい感じ。エステルちゃん(準主役級の修道女)がかわいいです。
『トリニティ・ブラッド Reborn on the Mars 嘆きの星』吉田直著 角川スニーカー文庫
「辺境の街イシュトヴァーンの支配者・吸血侯爵ジュラは、ロストテクノロジー兵器”嘆きの星”による人類抹殺の野望を巡らしていた。その情報を掴んだ汎人類機関ヴァチカンは、計画を阻止するべくひとりのエージェントを派遣した!」ー以上、裏表紙あらすじよりー
上の漫画の原作です。他の吸血鬼ものと違って、吸血鬼も一つの種族として書かれています。
漫画から先に読んだソラは、エステルちゃんがかなりアグレッシブだったのでちょっとびっくり。
ジュラがなぜ”嘆きの星”に手を出したのか、そんなにも人類を憎むのがなぜなのか。これは漫画版だけだとぜったいわからないですね。「シスター・アベリーナ」も原作にしか出てこないし(笑 )
アベル神父の「わたし、あなたの味方です!」という言葉がしみじみといいです。
『トリニティ・ブラッド Rage Against the Moons フロム・ジ・エンパイア』
吉田直著 角川スニーカー文庫
R.O.Mは書き下ろしですが、こちらは雑誌連載もの。R.O.Mより3年前が舞台になっています。2巻以降は中編連作になっていますが、1巻はほぼ読み切り、かな。
「フライトナイト」「ウィッチ・ハント」「フロム・ジ・エンパイア」と外伝の「ソード・ダンサー」からなっています。ソラのお気に入りは「ウィッチ・ハント」かな?
トレス・イクス神父がとにかくかっこいいのです。この時代、いわゆる「超能力者」は、「魔女」として抹殺される対象になっているんですが、それを「弾丸(タマ)切れだ。駆除作業は断念せざるをえん」と見逃すあたりなんかもうもうもう!
「フロム・ジ・エンパイア」に登場するキエフ候アスタローシェ・アスランは、後々深く関わってくるので要チェック!
『バルタザールの遍歴』佐藤亜紀著 新潮文庫(現在は文春文庫)
ソラが大好きで、もう20回以上は読み返している本。
20世紀初頭から第2次大戦直前のオーストリアを舞台にした作品です。第3回ファンタジーノベル大賞受賞。
一つの肉体に共棲するメルヒオールとバルタザールという双子。これだけだと、「多重人格もの?」という感じなんですが、ところがどっこい。一人が二人、二人が一人、さらに二人が二人(!)のまさに離れ業をやってのけちゃうんですね。
自分「たち」に正直に行動するがゆえに、次第に追いつめられて行くメルヒオールとバルタザール。パリから追われ、生まれ故郷のウィーンからも追われついにはチュニスにまで行くはめに。
そしてどういうわけか、ナチスの追っ手までやってくるのですが、それを出し抜く双子の痛快なこと!
今だとなかなか入手しにくいと思うんですが、これはぜひ新潮文庫版で読んでほしいなぁ。ソラ、この本の装丁まで愛しちゃってます。
『博士の愛した数式』小川洋子著 新潮社刊
ソラが新聞広告で見かけて「読みたい!」と市内を探しまわった本。(ちなみにこういうことはよくあります)
事故で記憶力を失った数学者の「博士」の家に家政婦として通う主人公「私」と、その10歳になる息子「ルート」の3人の日常を描いた作品。
「博士」は、1975年に交通事故にあったことが原因で記憶が80分以上もたなくなっています。つまり、頭の中に80分のビデオテープがあって、それが常に上書きされている状態。
そんな「博士」が「私」と初めて会ったときに聞いたのは名前ではなく「靴のサイズ」でした。
驚きながら答える「私」に「博士」は靴のサイズは4の階乗、電話番号は素数の数、といったようにどの数字にも鮮やかに意味を与えていくのでした。
大抵の人にとって苦手意識のある、とっつきにくい数学と自然に生活している「博士」。その「博士」に深い思いやりを注ぎ一緒に数式の美しさを喜ぶ「私」と「ルート」。
作中に「博士」が数学雑誌の懸賞問題を解いた後に「静かだ」と呟くシーンがあるのですが、この作品は読み終わった後に「静かだ」と呟きたくなるような静けさと穏やかさをもっています。
ときどき手に取って読み始めると「どうしてこんなにも長い間この作品を読まずにいられたのだろう」と思わせる、ソラにとって大切な作品です。
『壬生義士伝 上下』浅田次郎著 文春文庫
このところの新撰組ブームに乗って読んでみたら・・すごかった!
新撰組隊士吉村貫一郎の人柄とその人生について、周囲の人々が語るという部分と吉村貫一郎本人の独白が交互に綴られるという形式になっているんですが、そのコントラストが絶妙。
冒頭のやや淡々とした情景描写から一転、次のパートでは貫一郎の語る南部訛り、次では居酒屋のおやじが語るべらんめえの江戸っ子口調と、文体だけでもぐいぐいっと引き込まれるものがあります。
内容も題名の「壬生義士伝」のとおり新撰組の中で唯一、といっても過言ではない「義士」だった吉村貫一郎の生涯と、まっとうな生き方をすればするほど白眼を向けられる新撰組という組織、そして幕末と言う時代が語られていて読んで損なし。
常に「死」がつきまとっていた新撰組の中で、誰もが「こいつだけは死なせてはいけない」「あの男を死なせてはならぬ」と思った男。
「人の道」と「武士道」。この二つの道のうち多くの武士が「武士道」を選ぶなか、貫一郎はその二つの道のどちらを歩んだのか。
それをソラが語るのはやめておきます。読んで、あなたの目でそれを確かめてください.
ソラには、物語の中で何度か登場する「握り飯」と「雪」の二つがこの物語で伝えたかった事を象徴しているような気がしてなりません。
『不思議な少年』山下和美 作 講談社モーニングKC
「天才 柳沢教授の生活」の作者、山下和美さんのライフワークとなっている作品。現在3巻まで出ているのですが、各巻およそ300Pと漫画にしては分厚いです。
分厚いだけでなく中身も深いのですが。1つ1つの話はそれぞれ独立していて、共通しているのは永遠に生きる「不思議な少年」が登場してそれぞれの主人公を見守る、ということ。
戦後の日本、紀元前のギリシャ。
醜い争いをし、果てしない絶望を乗り越え、小さな幸せを見つける。
そんな人間を見つめ続ける少年は、全てを超越した存在でありながら人間にはなれない。
人間に絶望し、希望を抱き、人間の行動に驚嘆する。だからこそ少年は人間を見つめ続けるのかもしれない。
ソラの御気に入りの話は、2巻の「鉄雄」と3巻の「末次家の三人」です。
『終戦のローレライ』福井晴敏著 講談社文庫
「映画をみる前に読んでおこうか」と軽い気持ちで読み始めたのですが・・・どっぷりとはまり込んでしまいました。
ソラの大好きな潜水艦ものなんですが、最終兵器「ローレライシステム」を搭載した潜水艦「伊507」と
連合軍の「ゴースト・フリート」が繰り広げる海戦は、ほかのどんな潜水艦ものの小説とは違っています。
閉ざされた潜水艦と、それに手が届かない陸の上でそれぞれが「この国を救わねば!」と闘う姿。
登場人物の誰もが、「日本は負ける」と知っている現実。それでも、その決着をどうつけるか、
「日本という国家に切腹」をさせようとする朝倉大尉、「守るべき未来」を信じる伊507乗組員。
正直、読んでいて次のページがめくれないことが何度かありました。それくらいずっしりと重かったです。
でも、最後には「この本と出会えてよかった」と思いながら本を閉じることができました。
最初目的としていた映画なんですが・・実はまだ見ていません。もしかしたら見ないかも。
でも、伊507が動いている姿は見たいなぁ。
『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』山田真哉著 光文社新書 
「話題になっている本」ってことで気になっていたんですが、本当は 『世界一やさしい会計の本」が読みたかったりして・・
まずとっつきやすいこちらから読んでみようかな?と思ったのですが、それにしても この題名はそそられますよね〜。言われてみれば「なんで潰れないんだ?」って不思議が。
この本ではその疑問がすぱっと解明。ほかにも「なんで潰れないの?」と疑問に思うあんなお店やこんなお店の疑問がわかりやすく説明されています。
「会計ってむずかしそう」「経済ってわかんない」と思う人にこそ読んで欲しい本だなぁ、と思います。

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