『指輪物語』J.R.R.トールキン著 評論社刊
言わずと知れた超有名な作品。ほとんどの人が「旅の仲間上1」の序章でつまづくようです。ソラも最初に読んだときはつまづきかけたんですが、ここははっきりいって最初は飛ばしてよし!ともかく読み進める。で、「おや?」ということが出てきたら前に戻る。映画化されたことで、ガイドブックもけっこう出ているのでそっちを見てから読むのもいいかも。
この本は、もう小説というよりも「中つ国」という世界の歴史書と思ってもいいかも。
格言や警句がいっぱいあって、「読んで面白い本」ということに加えて「身になる本」という面もありますね。
ちなみにガイドブックの中では「別冊宝島 僕たちの好きな『指輪物語』」というのがおすすめ。 章ごとのあらすじや人物相関図があって、かなりわかりやすいです。
ソラは、この話にでてくる「レンバス」というエルフの食べ物は、ぜったい「ショートブレッド」がモデルになっていると信じて疑いません。
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『浴室』J.F.トゥーサン著 集英社文庫刊
唯一ソラが新刊が出るたびに買う外国人作家。なんというか、作品全体に漂う「ゆる〜い」感じがなんともいえません。ちなみに「浴室」はデビュー作。
最初っから主人公がなぜか浴室に「居を構える」ことになってしまうんですが、そこに深刻さはまったくありません。同居中の恋人は弱って主人公の母親に訴えるんですが、その母もケーキを持ってやってきて「エクレアをぱくぱく食べ、」何か気晴らしをするべきだ、なんて言う始末。
で、ずーっと浴室に居続けるのかと思いきや始まって8ページ目には浴室を出てしまう。なんでやねん!
妙なポーランド人が台所でタコと格闘したり、主人公はふらっとヴェネチアまで旅に出たり。さんざん振り回されたあげく最後の一文を読んで脱力。
好みは相当分かれそうですが、ソラは大好きな作品。
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『ローラ、叫んでごらん』リチャード・ダンブロジオ著 講談社+α文庫
これはノンフィクションですね。
1歳のとき両親に「泣き声がうるさい」とフライパンで焼かれた少女ローラが臨床精神科医の著者に出会って言葉を取り戻し、高校を卒業するまでの記録。
赤ちゃんなんて泣くのが仕事みたいなものなのに、それだけで「フライパンで」焼かれるなんて。身体の2分の1以上に火傷を負って一言もしゃべらず、自分の中に閉じこもったローラ。
たまたま飛行機で一人のソーシャル・ワーカーに出会った著者は、ニューヨーク市にあるカトリック教会が運営する施設に出向く事になります。
その施設には150人ほどの少女がいたのですが、その中でも著者の目に止まったのが12歳のローラでした。
アルコール依存症の両親をもち、12歳までのほとんどを病院と施設で過ごしたローラ。忍耐強くローラの治療にあたる著者。そしてそれ以上の愛を注ぐシスターたち。
はっきりいって、著者だけだったらローラはあそこまで回復したとは思えません。
ローラ、そして少女たちのために全力をつくし、ときには知恵とユーモア溢れる行動で困難な状況に打ち勝つシスターたち。
願わくは、ローラとシスターたちの人生に光あれ。
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『K-19』ピーター・ハクソーゼン著 角川文庫
2年前に公開された映画の原案。ノンフィクションです。・・つくづく、ソラのノンフィクション好きがうかがえるってもんです。
内容は、冷戦時代の旧ソヴィエト連邦が極秘に開発した原子力潜水艦K-19の処女航海でおきた想像を絶する事故の記録です。
本書は11章からなっているのですが、K-19の事故に触れているのは第3章から第8章まで。他の章は、旧ソ連海軍初期の潜水艦事故やその後の潜水艦事故のことが書かれています。
冷戦時代の旧ソ連海軍のずさんな品質管理や徹底した秘密主義、予算削減のための手抜きや安全基準の無視。
そしてあきれるほどの原子炉に対する認識の甘さ。
そして冷戦の最中、NATOのレーダー監視所の目と鼻の先で起こったK-19の原子炉暴発。
まかり間違えばメルトダウンを引き起こし核ミサイルに引火、第3次世界大戦の引き金になりかねない事故を身を以て防いだK-19の乗組員。
こんな危険な事故が28年間もひた隠しにされ、勇敢な乗組員の行動も闇に葬られようとしていたことを考えると
2000年に起きた潜水艦「クルスク」の事故は、起こるべくして起きた、いわば「人災」だったんだな、と改めて思わされました。
ちなみにソラはこの本をもとに作られた映画を見て、2回ほど泣きました。(1回の上映中)
本当に、おすすめです。ただし、専門書並みの内容の硬さですが(苦笑) |
『少年』ロアルド・ダール著 ハヤカワ文庫
今、映画も公開されて話題になっている「チャーリーとチョコレート工場」の原作者の少年時代のおはなし。
ソラさん、けっこうなイギリススキーでして。この本も、あるサイトで「イギリスの寄宿舎学校の生活が書かれている」というのに惹かれてよんだのですが・・・
「なんなんだ、この面白さは!」
ほんっと、面白過ぎなんですけど、この人の子ども時代!!
「自転車と駄菓子屋」、「鼠の死骸陰謀事件」、「魔法の島」・・・
ざっと見出しを列挙しただけでも面白そうでしょう?本文はもっと面白いんですよ〜。
この本では、ダール少年の幼稚園から就職までが描かれています。
続編の「単独飛行」ではシェル石油に就職したのちの話が綴られているそうですが、そちらも読んでみたいなぁ〜。 |
『遺失物管理所』ジークフリート・レンツ著 新潮社クレスト・ブックス
去年の5月に札幌へ行ったときに買って以来「積ん読」状態になっていたのを引っ張りだして来て読んだのですが・・・
置きっぱなしにしていたのを後悔。いいですよ、これ!
ジャン・フィリップ・トゥーサンの小説に出てくるような「お気楽極楽」な主人公なんですが、老獪なレンツさんの手に掛かるとトゥーサンの小説に出てくるのとは違ってほのぼのと心温まるのですよ。
(推定90年代後半の)ドイツを舞台に、人種差別や若者の集団的暴力行為にもふれつつ、突き刺さるところがなくって。でも、深く考えさせられるような。
のんびりとお気に入りの暖かい飲み物を用意して読みたくなるような、そして読んだ後主人公や登場人物のその後をあれこれ想像したくなるような一冊です。
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『神様の食卓』デイヴィッド・グレゴリー著 ランダムハウス講談社文庫
とあるブログでこの本のことを知って、読みたいな〜と思っていたら、近所の本屋で発見。即購入。
全部で150ページちょっとの短いお話。あまり普段本を読まない人でもさくっと読めるのではないかと思います。
でも、内容はものすごーく!濃いですよ。
「ナザレのイエスとの夕食会にご招待します」という招待状を受け取った主人公が、だれかに担がれていると思いながら招待に応じると、そこにいたのは・・・
ソラがあれこれ言うよりも、一度読んでみてほしいなぁ〜。
クリスマスを間近にひかえたこの時期に、あったかい部屋でお気に入りの飲み物でも飲みながらゆっくり読んで欲しい本です。できれば、自分で買って。理由は読んだ後にわかりますよ〜。
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